エジプトの旅
北アフリカは、人類史上有数の古代文明発祥の地・エジプトを有し、巨大建築物・ピラミッドやスフィンクスは、今尚多くの人々を集める素晴らしい世界遺産です。
東のシナイ半島を経て、アラビア半島にはキリスト教、ユダヤ教、イスラム教などの発祥の地や聖地を多く有し、ある意味では人類史の発祥の地とも言えるところかもしれません。
そして、その発祥の後、複雑に枝分かれていった文化の原点が集まるところゆえに、未だに多くの民族が自分たちの存在意義・自分たちの正当性を主張し、争いを続けている複雑な地域でもあります。
私は、1988年にこの地域を旅し、スエズ運河や高射砲や戦車の並ぶシナイ半島を抜けて、中東へと一人旅しました。
それは焼け付くような砂漠に残る古代遺跡に驚嘆し、紅海の水の余りの透明度に感激し、そして砂漠に延々と並ぶエジプト軍陸軍部隊と高射砲試射演習の爆音に身を縮めながらの旅でした。
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北アフリカの砂漠に突風が吹きぬけていく。
キリマンジャロの紫外線でやられた顔の皮膚は崩落し、未だに痛みが残っている。その熱を帯びた顔に、砂漠の突風は心地よいものだった。足の先から爪の先までアフリカの水が染み渡ったような気がする。
キリマンジャロ登頂という大きな目標を達成した後の、目標を見失った空虚なぼくの心に、この無の世界は心地よい空間だった。
途中、スーダンのハルツーム空港で長時間、乗り換え待ちをした。土で作られた2階建ての空港ビル、砂嵐にかすむ土の町、そして真っ黒な肌を純白の民族衣装で包むスーダンの人々、このコントラストを眺めながら空港ビルの外の突風の中に身を晒した。
この町を抜けてきたかなりのバックパッカーが、マラリアにやられていた。大流行だ。とりあえずこの町を飛ばして、カイロまで抜けることにした。
ナイル川はエジプトに始まり、スーダンを縦断、ビクトリア湖へと水源を辿る。
この砂嵐の吹きすさぶ大地を人々は旅したのだろうか。余りに幻想的な風景だった。
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そして今、砂漠の向こうにスフィンクスとピラミッド群が見えている。 エジプト最古の、そして世界でも有数の繁栄を誇った文明の夢の跡が目の前に広がっている。
スエズの町に降り立った瞬間、周囲の風景の異変に気が付いた。 英語の標識や看板が消えた。そして英語が通じない。これが本当のエジプトだと思った。
スエズ湾のとある岬に立った。水が。。。すごい透明度だ。ガラスの中を覗き込んでいるかのような錯覚に陥る。底まで全てが何のよどみもなくはっきりと見えている。海の底にいる魚や貝、海藻まで全てが見える。
かつてクストーの海底世界でも紹介され、世界有数の透明度を誇ると言われた紅海。その海が目の前に広がっていた。この先より運河が始まる。
地中海と紅海、すはなちアジアと欧州をつなぐ運河だ。
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エジプトのとある町にて
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カイロ市内よりピラミッド
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ポートサイドで砂漠を流れる川をフェリーで渡った。
そしてしばらく行った頃、イスラエルへと続くこの道の両脇に、無数の戦車や高射砲が見え始めた。
そうだ。昔習った中東戦争。ここはその中東戦争の激戦地だったところだ。 ドオーンと砲撃音が砂漠に響き渡る。南側に見える高射砲が煙を上げている。演習だろうか。戦争とは無縁の現代日本に育った私にとって、この風景は鮮烈だった。映画で見た世界がここには現実にある。
中東和平が崩れればここもすぐに戦場となる。今ここを抜けられる人間は幸せだと思う。またいつ見ることができなくなるかわからない。日本では見ることのできない様々な世界が目の前を流れていく。
エルギーザ
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